パワハラ法制化はいつ?防止法で罪に認定?厚生労働省ガイドラインはどう変わるのか!

国会議事堂

パワハラは今や当たり前にみんなが知っている問題です。そしてたくさんの人達がパワハラに苦しんでいます。

特に職場におけるパワハラは、被害者を退職に追い込んだり、最悪な場合自殺に追い込んでしまう恐ろしい行為です。

そんな深刻な問題なのに、法制化されていなかったことをご存知ですか?

法制化されることによりパワハラが正式にとして裁かれることになったり、実は他人ごとではないんです。

今回、パワハラの法制化により具体的に何が変わるかというところから、厚生労働省ガイドラインの情報などをまとめてみました!

会社で人事を扱う方から、パワハラに苦しんでいる方まで役に立つ記事だと思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

パワハラとは?厚生労働省があげる要素

パワハラ

引用元:https://www.photo-ac.com/main/detail/1650671?title=%E6%A8%AA%E6%9A%B4%E3%81%AA%E4%BA%BA

厚生労働省があげるパワハラとは?

パワハラという言葉はよく聞きますし使いますが、その線引きの難しさをよく耳にします。

しかし、時代とともに上司と部下の間での接し方について認識が変わっています。自分では常識の範囲内で接していたつもりが、無自覚にパワハラをしていたなんてこともあり得ますので、きちんと把握しておくことが大事ですね。

それでは具体的にはどのような行為からパワハラになるのかご存知ですか?

厚生労働省は以下の3点の要素を含むとパワハラにあたると整理しています。

【パワハラになる3要素】

1.優越的な関係に基づいて(優位性を背景に行われること)

2.業務の適正な範囲を超えて行われること

3.身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126546.html

上記の内容では少し理解しづらいかもしれません。やはり人によって感覚の違いが表れてきそうな表現ですね。

厚生労働省はこれまでの裁判例などをもとに、パワハラをより具体的に次の6種型の典型例としてあげています。

 【パワハラの6種型】

1.身体的な攻撃 (暴行・障害)

2.精神的な攻撃 (脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)

3.人間関係からの切り離し (隔離・仲間外し・無視)

4.過大な要求 (業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)

5.過少な要求 (業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

6.個の侵害  (私的なことに過度に立ち入ること)

引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126546.html

いかがですか?ご存知かと思いますが、パワハラは上司から部下に対してだけではなく、部下から上司へも起こりえます。

もし自分も当てはまる事をしているかも、と心当たりがあればすぐに改善すべきですね。

なお、上記の6種型に当てはまったとしても、先ほどあげた3点の要素にあてはまらなければパワハラとならない事があるようなので、解釈には注意が必要です。

パワハラは労働基準監督署で解決できない!?

労働に関する問題は労働基準監督署に相談すれば解決してくれると思うかもしれません。ですが、パワハラに関しては労働基準監督署で解決できないのです。

それはパワハラがこれまで法制化されていなかったからです。

労働基準監督署で解決問題は以下の内容に限ります。

労働基準監督署で解決できる問題
  • 賃金に関すること
  • 労働時間に関すること
  • 退職に関すること

もしパワハラによりなんらかの疾患にかかった場合は労災申請が出来ます。そのときに相談窓口になってくれるようです。

また、労働基準監督署内に設置されている「総合労働相談コーナー」というところでは、労働に関する相談をなんでも聞いてくれるそうです。

ですが、今後はこのような対応が変わってくる可能性があります。

 

パワハラ防止法が成立

投票

引用元:https://www.pexels.com/ja-jp/photo/1550337/

ノブオ
最近、パワハラ防止法が成立したようだよ!僕の会社も良い方向に向かうといいな!
ヒサコ
そうなんだ!これまでパワハラはずっと問題視されていたのに、なぜいま法律化したのかしら?そもそもパワハラ防止法が出来たらなにが変わるの?
退職代行屋さん
パワハラ防止法は企業、働くみなさんにとっての働き方が変わる大きな一歩です。日本全体の問題になるので、一人一人が理解しておく必要があります。

パワハラ防止法が閣議決定!成立しました!

企業に対してパワハラを防止させるための労働政策推進法の改正案が、2019年5月29日の参院本会議により可決し成立しました。

働くうえで最も問題が多いとされてきたパワハラについて法律が出来たのです。これにより各企業はパワハラ対策を講じなければいけません。

 

パワハラ防止法とはこんな法律!

それでは、パワハラ防止法とはどのようなものなのでしょうか?

簡単にいうとこのような法律です

パワハラ防止法とは?
  • 各企業でのパワハラ対策を義務化
  • パワハラの定義を明確化

パワハラ防止法とは、職場でパワハラが発生しないように会社で対策を行う事です。

これまでパワハラ対策は企業の自主性に任せていたのですが、これが完全に義務化されます。全企業がパワハラ対策をしなければいけません

実はこれまでパワハラには明確な定義がありませんでした。しかし、パワハラ防止法によりこのように定義されました。

パワハラの定義
優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること

正直この定義を見てもよく分からないし、具体的なラインってどこよ?と思いっちゃいました。

セクハラなどと一緒で正解がないんですよね。

しかし、弁護士などに相談があがるパワハラは「線引きが分からない」というレベルでは済まないくらいひどいものが多いそうです。

それって自分はパワハラに当たることをしていないかな?と当事者意識をもつことで改善できることだと思うんです。

パワハラが法制化されることで、そのような意識をもつ人が増える。それだけでも日本全体の企業と働く人にとっての大きなきっかけとなると考えられませんか?

パワハラ防止法が成立された背景

これまで、セクハラ(セクシャルハラスメント)やマタハラ(マタニティハラスメント)は防止措置がされていました。

ですが、パワハラに関しては、どこからがパワハラになるのかという線引きが他の2つのハラスメントよりも難しいこともあり、防止措置を義務付けることが出来ませんでした。

しかし、厚生労働省の労働局へのパワハラによる相談件数が年々増加していることにより法の義務化に踏み出しました。

また、海外においてはパワハラの法規制が進んでいるのに、日本は遅れているという点で以前から問題視されていました。

ILO(国際労働機関)が世界の80か国に調査したところ、60か国はハラスメントに関する規制があることが分かりました。ですが、先進国である日本はその中に入っていないのです。

補足

ILO :International Labour Organization(国際労働機関)

1919年に制定された世界の労働者の労働条件などの改善を目的とする専門機関。加盟国は187か国で、 日本も加入している。労働組合の発足などはこちらの条約から批准している。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%A9%9F%E9%96%A2

ILO(国際労働機関)が今年100周年にあたり、ハラスメントに関して条約を制定する方針を決めました。これにより、ハラスメントへの対策が国際基準として制定されるんですね。

これに日本政府も反応して、法制化に踏み切ったのだと考えられます。

これからはパワハラが罪に認定される?

今回、パワハラ防止法により企業への防止への法律は制定されましたが、罰則化はまだ先のようです。

働き方改革を前進させた一つの出来ごとを覚えていますか?広告大手電通の新人社員が過労により自殺したニュースです。

社会全体にたくさんの影響を与えた問題になりましたね。この問題は長時間労働とパワハラが指摘されました。

これにより、長時間労働に関しては罰則付きの規制が出来たのですが、パワハラに関しては線引きがはっきり出来ないという企業側の主張により、罰則付きの規制が出来ませんでした。

今回もパワハラ防止策が制定されたものの、企業が「実際にどこからがパワハラかを線引きするのが難しい」と主張したことによりまた見送られてしまいました。

罰則化されていないこの法律の実行性が少し不安になります。企業側は法律にのっとって形式的に整備をすれば良いわけですから、実際に力を入れて取り組むかというところが今後の課題になりそうです。

 

パワハラ対策が義務化

ビル

引用元:https://www.photo-ac.com/main/detail/356031?title=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%80%80%E6%96%B0%E5%AE%BF%E3%81%AE%E9%AB%98%E5%B1%A4%E3%83%93%E3%83%AB%E7%BE%A4

ノブオ
パワハラ防止法については理解できました。企業がきちんとパワハラを防止するための対策を取るということですね。
ヒサコ
そうね!でも対策といっても具体的にどのようなことをしてくれるのかしら?
退職代行屋さん
確かにイメージしづらいですよね。対策法は多くの企業も頭を抱える問題でしょう。今後の対策案や、すでに対策を取っている企業の例を一緒に覗いてみましょう!

厚生労働省のガイドラインがどう変わるか?

これまではパワハラに関してのガイドラインがありませんでした。ですが、法制化されたことにより厚生労働省のガイドラインが作成されます。

ガイドラインには以下のようなものが盛り込まれます。

厚生労働省によるパワハラのガイドライン
  • パワハラ防止のために企業がどのような対策をとるかを示す
  • どこからがパワハラになるかというセーフ、アウトラインをより具体的に示す

これにより企業側も対策を考えやすくなるのではないでしょうか?

現時点で厚生労働省のガイドラインは出来ていないのですが、今夏(2019年)に行われる労働政策審議会にて議論し決定するようです。

企業が行うべき具体的な対策

それでは企業は具体的にどのようなパワハラ対策が必要になるか。それは今後、厚生労働省のガイドラインで示されます。それに従い各企業でパワハラ対策を講じる必要があります。

また、すでにパワハラ対策を行っている企業も一度見直す必要が出てきそうです。

ガイドラインはまだ出ていないのですが、現時点で出ている対策案は以下のようなものです。

パワハラ対策(想定)
  • 社内にパワハラの相談窓口を設置
  • パワハラの事実関係の調査などの対応
  • パワハラが起きた時に速やかに被害者の保護
  • パワハラが起きたときに迅速に加害者の処分
  • パワハラの再発防止策を制定
  • パワハラを相談したことにより解雇しないことを明示
  • 被害者と加害者のプライバシー保護

パワハラ対策はいつまでに行えば良い?

パワハラ防止法は2019年5月29日に成立しました。
では企業側はいつまでにパワハラ対策の体制を整えなければいけないのでしょうか?

企業によるパワハラ対策の義務化はいつ?
  • 大手企業・・・来年(2020年4月)から
  • 中小企業・・・来年(2020年4月)から努力義務としてスタート。完全に義務化するのは2022年4月

大手企業に関しては来年には義務化されてしまいます。早急な対応が必要ですね。

パワハラ対策が出来ていなければ厚生労働省が公表の可能性も!

パワハラ防止策をきちんととらない企業に対して、厚生労働省が企業名を公表することもあるようです。

罰則化されていない法律ということもあり、そうでもしないと前向きに動く企業が減るのでは?という懸念からでしょう。

もし公表されてしまったら、企業としてはイメージも下がりますし影響が大きいので、パワハラ対策をしっかりと講じなければいけないですね。

すでにパワハラ対策を行っている企業の事例

すでに自主的にパワハラ対策を行っている企業がたくさんあります。実は企業の半分以上は対策を行っているようです。

では実際にどのような取り組みを行っているのか見てみましょう。

厚生労働省のガイドラインが示される前に見ておくととても参考になる内容です。

(大手スーパーT)

全従業員を対象としたアンケートを実施しました。アンケートの内容は、労使で協力して作成しました。ただアンケートの発信は、誰もが本音を自由に言えるようにと考え、会社からではなく組合から全従業員へ向けて行いました。

また、フレンドリーサービスへの取組みを実施しました。お客さまへの挨拶は当然ですが、仲間である従業員同士、家族、取引先の皆さんともきちんと挨拶ができるように自分をもう一度鍛え直そうというシンプルな運動です。

引用元:https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/jinji/another-company/archives/5

 

 

(大手建設会社B)

建設業という仕事柄、注意を怠ると生命の危険もあることから、業務の中で厳しく指導をしなければならない場面もあります。

社会的にパワーハラスメントへの意識が高まってくる中で、「本当に必要な指導までがパワハラと誤解されてはいけない」という観点からパワーハラスメント対策に取り組んでいます。

すでに、男女雇用機会均等法の規制に基づいてセクシュアルハラスメント防止に関する会社としての方針やルールがありましたので、パワーハラスメントについてもそれに倣いました。

また、職場単位で実施している集合研修やeラーニングによるコンプライアンス研修にハラスメント防止の内容も含めており、年に一度は全社員が研修を受ける形になっています。

引用元:https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/jinji/another-company/archives/10

 

(マンション建設から土木工事まで幅広く建設工事を手掛けるC社)

ハラスメントは最終的にコンプライアンスの問題となるので、リスクの中の一つにパワーハラスメントがあると位置づけて取り組んでいます。

業務の遂行や個人として行動するうえで遵守すべき事項を「コンプライアンスマニュアル」として定め、全職員に配布しています。

また、コンプライアンス上の問題や望ましい行動に反する行為などの相談・通報を受けるために、コンプライアンスホットラインを設置していて、ハラスメントに関する相談も受けています。

さらに、グループの親会社がコンプライアンスの教育用に「CASE BOOK」を作成し、グループ全従業員に配布しています。れらのCASE BOOKにはコンプライアンスに関するいろいろな事例を取り上げていて、その中にハラスメントに関する事例もあります。

それぞれの職場で毎日行われる朝礼の時に、CASE BOOKから一つの事例を読み上げ、何が問題でどのように行動すべきかについて、参加者全員で考えるという形で活用しています。

引用元:https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/jinji/another-company/archives/30

各企業がそれぞれ工夫してパワハラ対策を行っているようですね。

このように先進的にパワハラ対策に取り組んでいるのは大手企業だけかと思いきや、中小企業も積極的に行っているということが印象的です。

 

まとめ

パワハラが法制化することは、たった今上司、部下からのいじめや嫌がらせなどで苦しんでいる人にとって明るいニュースですね。

一方で、会社の規定や体制を変えたり、企業側は対応に追われるところもあると思います。

今後はパワハラの罰則化も予定されています。それにより同僚とのコミュニケーションに気を使ったり、これまでより少し働きづらくなるのでは?と考えると思います。

ですが社員みんなの職場環境が改善されることにより、仕事の効率があがったりと企業にとってメリットもあると思います。

ではこの記事のまとめに入ります。

  1. パワハラが法制化されたことにより全企業が対策を取る必要がある
  2. 厚生労働省のガイドラインはこれから作成される
  3. 今後はパワハラの罰則化も検討されている

パワハラ法制化により、パワハラが企業の中の問題から日本全体の問題になりました。それによりみんなが当事者意識をもって考えるきっかけになることは大きな前進です。

今パワハラに苦しんでいる人たちがより働きやすい社会になると良いなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!